原幸一 (東京都 藤原由紀乃後援会会員)
 
                   
由紀乃さんの演奏を初めて聴きました。最高でした!今まで、いろいろな人の演奏を聴いてきましたが、これほど高い精神性をもち、内容の充実した、豊かな演奏は、ついぞ経験したことがありません。由紀乃さんが、複雑にからみあったBrahmsの作品を解きほぐしたうえ、ひとつひとつの音をしっかり確認しながら、音楽に練り上げてゆく、その造型の手腕は、見事というほかない。卓越した技巧をもちながら、あえて、その技巧にならず、まるでBrahmsの精神が語り出すのを手助けするにとどめるかのような、控えめなタッチ、けして、表面的な効果は、狙わない。そうだ!こういう音楽を聴きたかったのだ!私は、由紀乃さんの演奏にすっかり魅了されてしまいました。Brahms先生がもし聴いておられたら、きっとこう仰るでしょう、「そうだよ、そのとおりだ!」。会場で販売されていた3枚のCDを買い、聴いてみると、これまた素晴らしく、何回も聴いて、すっかりとりこになってしまいました。 今まで毛嫌いしていたSchumannとChopinが、すんなり心身に染み込んできます。由紀乃さんの演奏は、どうして、こんなに好いのだろう。Steinwayが明るくクリアで現代的な音がするのに対して、Boesendorferは、深く渋い音で、いささか古風な響きがしますね。Boesendorferに慣れてみると、Steinwayは軽すぎる。もっともっと由紀乃さんの演奏を聴いてみたいです。なぜCDが3枚しかないのでしょう。30枚あればよいのに!